「いすみ市郷土資料館」は田園の美術館の愛称で呼ばれ、平成3年3月に開館してから、いすみ市や地域の文化と芸術の発信をしています。そんな地域に親しまれている田園の美術館で、現在『行元寺の全て』~波の伊八と密教美術~の企画展が開催されています。
行元寺旧書院の改修工事にともない、天台宗南総教区研修所の全面協力によりいすみ市郷土資料館で、有名な欄間彫刻はもちろん、仏像、仏画、法具、密教聖教など、県指定文化財5件、市指定文化財8件などが展示されます。
行元寺は、嘉祥2年(849)慈覚大師円仁によって開山され、1586年に現在の地に移設された歴史あるお寺です。江戸時代には、上総・安房に末寺百ケ寺とも称され、大寺院として発展しました。
初代「波の伊八」、武志伊八郎信由(たけしいはちろうのぶよし)は宝暦2年(1752年)に、現在の鴨川市で生まれました。若いころから才能を発揮し、次第にその腕を買われ、数多くの作品を残していますが、別名「波の伊八」と呼ばれるように、代表作には躍動感にあふれる大小にさまざまな波の彫刻がいくつもあります。
有名な波の伊八の代表作「波に宝珠」は、葛飾北斎にもインスピレーションを与えたと言われています。また、ゴッホ、セザンヌ、ピカソなどの作品にも大きな影響を与えたとされました。
時代を超えて、近代の美術にまで影響を及ぼすようなすばらしい作品や歴史的に貴重な作品などを身近で見る事ができますので、この機会に是非足を運んでみて下さい。※会期中の土日、祝祭日の午後1時からボランティアによる「伊八欄間彫刻」の解説があります。