令和6年、開創1300年を迎えた高藏山大山寺は、大山不動尊の名で知られており関東三大不動と呼ばれています。 奈良時代(724年)に東大寺開祖の良弁僧正が開山したと伝えられている大山寺は、かつては源頼朝、足利尊氏の信仰を受けて繁栄していたそうです。江戸時代(1802年)には現在の不動堂が再建され、山伏の寺として存続してきました。その後、明治政府による修験道廃止令によって、高蔵神社の境内の建物のひとつとして扱われていましたが、平成19年に正式に真言宗智山派の寺院となりました。
本尊不動明王像が納められている厨子は、江戸元禄時代頃(1600年代)に造られたといわれ、日光東照宮造営に関わった安房大工の職人によるものとされています。構造や細部の装飾などから当時の威厳ある様子が伝わってきます。
山伏姿の修験者や一般の参拝者などが護摩壇の燃え跡にできた道を素足で歩く荒行「火渡り」。山伏姿の修験者が、ほら貝を響かせながら場を清める儀式を執り行い、たいまつに火をつけます。白い煙と大きな炎が立ち上るなか祈祷がはじまり、火の勢いがおさまった後、火渡りのための道を修験者と多くの参拝者が無病息災・家内安全などを祈りながら素足で渡ります。大山寺で行われる護摩祈祷は、柴を切り集めて護摩をするため「柴燈護摩」とよび、これも修験(山伏)のお寺で山岳修行を根本とされているからだそうです。
今年は開創1300年記念として、通常より大勢の山伏を集めて、法要を大いに盛り上げます。また、初代伊八作の倶梨伽羅龍像(くりからりゅうぞう)を開帳します。と笑顔で話される金本ご住職。檀家のいない大山寺ですが、「日光東照宮に優るとも劣らない」ともいわれる厨子をはじめ、千葉県指定文化財の不動明王坐像、不動堂や、鴨川市指定文化財の鐘楼などのいくつもの歴史文化遺産を守ってきました。
まだまだ紹介しきれない貴重な歴史が大山寺にはたくさんあります。今日までの長い時代の流れを感じながら、高蔵山の上、遠くの太平洋まで見晴らせる大山寺を是非訪ねてみてはいかがでしょうか?
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